わが国が迎えている、そして今後東アジア諸国が迎える成長社会から成熟社会への大転換は、無いものをつくってきたフロー重視の社会からあるものを生かすストック重視の社会へ、また、経済成長を前提としたキャピタルゲイン型のビジネスからこれまで培ってきたわが国の豊富なストックを高度化したインカムゲイン(運用益)型のビジネスが有利な時代への移行を意味します。
 さらに、生産年齢人口が減少、高齢者人口が増加する多くの地域社会では、今後の財政負担の益々の増加により地域経営自体の破綻が危ぶまれています。持続可能な地域社会のためにも、これまで培ってきた有形無形の地域資源、すなわちストックを生かして地域産業の生産性を向上するとともに、新しい産業と雇用を創出していくことで、外部経済に搾取されにくい自立した地域経済を築くことが不可欠です。
 国内総生産の7割を占めるサービス産業は、地域経済の自立化へ突破口を切り開くイノベーションの宝庫です。すべての産業はサービス産業化されてはじめてユーザーに届けられることを考えると、その重要性は明らかです。それでは次世代のこれら地域の担い手はどのように育成されるべきでしょうか?ストックデザイン&マネジメント教育プログラムでは、大学院生と社会人を対象に、地域資源(ストック)を科学的に横断活用して産業にイノベーションをおこすデザイン力とマネジメント力をもった人材を育成します。


この教育プログラムで習得していく能力は以下のとおりです。



これら能力を効果的に習得するために、教育方針については「実学教育」、教育システムについては「リーダー育成」、教育体制については「産学協働」という3つの教育のポイントを設置しています。
 これからの地域を担っていくのは生き生きと希望に満ちあふれた人たちです。そういった方々の出会いの場にもなれば光栄です。

3つの教育ポイント
必修三科目でとりあつかうのは実際にある地域や企業、そしてそこに暮らす人々。目の前に広がる現実のフィールドに対峙して、それら地域にある課題やポテンシャルを導きだし、机上の空論で終わらない、実効性の高いビジネスによって課題を解決する能力を身につけます。教育プログラムから出てきたビジネスシーズを実践に移していくのはあなたたちです。
ものだけをつくっていれば、既存の産業にしがみついていればよい時代は終わりました。自身のスキルを背景に、勘や経験に頼らず、今ある産業分類や業種を飛び越えて、地域や企業の問題を解決する力が必要です。SDM教育プログラムでは、基礎力・観察力・編集力・創出力・再編力を一貫して学ぶことによって、問題(ニーズ)発見から解決に至るまでの能力を幅広く身につけます。


100年以上の歴史で培ってきた産学連携の「ものづくり」を基盤とした実学教育が、改めて地域の「ことづくり」を中心とした産業界の実践者らとタッグを組んで、これからの地域を担う未来の経営者を育成。大学教員のみならず第一線で活躍する実務家と一体となりながら、血が通った即戦的な知識や技術をともに本気になって学んでいきます。



履修証明プログラム




SDM教育プログラムは、育成する人材像および習得すべき能力と紐付けて、必修3科目(6単位)と選択8科目(16単位)が用意されている大学院履修証明プログラムです。内、必修3科目(6単位)と選択3科目(6単位)の計6科目(12単位)を取得することで修了となり、修了証明書が授与されます。









新設必修科目 6単位


 本科目では、ストックを活用した産業の創出において不可欠なエリアマーケティング調査について、基本的な調査手法を学ぶとともに、課題解決テーマが与えられた特定のエリアに対する多角的な調査を実施することで、地域にある潜在的な課題やニーズ、および可能性を科学的根拠に基づいて導きだす方法・技術と分析力を習得する。

本科目における学習到達目標

エリアマーケティングに対する知識を深めること
定性的かつ定量的にストックの実態を知る観察力と課題発見力を身に付けること
課題解決に向けて的確な情報を引き出し読み解いていく分析力を身に付けること


 本科目では、ストックを活用した新しい産業のフロンティアを築いている実践者を交えて、多様でユニークな産業の動向とそれら産業に通底した特徴をディスカッションやグループ形式によるケーススタディを通じて学ぶことで、ストックを活用した新しい産業創出に関する基礎知識を習得する。

本科目における学習到達目標

既存産業の枠組みに捕われないストック活用型産業への理解を深めること
ケーススタディを通じて情報を取得し、俯瞰する観察力と構造力を身に付けること
ループワークを通じてチーム力(リーダーシップとフォロワーシップ)を身に付けること


 本科目では、特定の地域や地場企業が抱える課題を具体的に設定した上で、地域に潜在する有形無形のストックに解決の糸口を探り、地元企業等の産業界や関連団体と連携しながら、課題解決に至る新たな事業の構想と計画を行う。このプロセスを通じて、ストックを活用して新しい産業を創出する構想力と、戦略的かつ持続的な事業を導きだすための論理的な思考力を習得する。

本科目における学習到達目標

複層的な条件や要因を課題解決に向けて適正に編集できること
アイディアの想起、仮説の設定・解決策の検証といった戦略的な事業プランニングができること
事業のリスク最小化や持続発展性等経営に対する理解を深めること




新設必修科目 8単位
 本科目は、ライフコースや人間の発達、法、倫理、権力といった社会学的な観点から都市環境や建築環境、現在の企業制度について再考し、それらについて捉えなおす視角を習得する。受講生がグループを組みテーマを設定した上で、社会学的な観点から課題や考察を加えてディスカッションする。
 本科目は、知的財産権全般における基礎知識、先行特許の調査方法、出願から登録までの流れ、明細書の書き方や読み方、技術移転やライセンス契約、企業特許戦略などを身につけ、知的財産権の権利化、活用、コミュニケーション等を行えるように、権利化・活用の基礎的な実務能力と法律的基礎知識を習得する。
 本科目は、経営におけるマネジメント手法と戦略、組織のデザインとモチベーションと活性化、組織間のマネジメント、グローバル戦略などについて輪読とディスカッションを通じて、ミクロ組織論やマクロ組織論、戦略論まで含めた経営管理の知識を修得し、産業構造や企業行動を読み解く能力を習得する。
 本科目は、理論と実践の双方から建築計画および地域マネジメントに対する理解を深め、建築計画が現在持つ課題や現代的な意義について整理する。ディスカッションやプレゼンテーションを通じて、近年の社会的な動向と建築計画の関係、近年の新しい建築や地域の計画とマネジメント手法を習得する。
 本科目は、経営戦略、マーケティング戦略、事業戦略、アカウンティング等の手法を紹介し、事例を通じて企業と事業の創造的行為について、マーケティング戦略や人材育成、およびイノベイティブな経営戦略、経済産業政策に関する手法や技術を習得する。
 本科目は、中心市街地、都市郊外、田園や中山間地、離島半島をとりあげ、土地所有形態や歴史的産業とのかかわりや継続的な生活様態に起因する文化的景観という観点から、わが国の国土の風景の形成史を概観し、将来の景観政策のありかたについて学ぶ。
 本科目は、建築デザイン(計画・設計・意匠・歴史)に求められる重要な視点、考え方について、理論的側面、実践的側面の双方から学んでいく。特に、理論と現実との間にある様々な課題についても理解を深めていき、さらには設定された課題テーマに対して、建築的なプロセスを通じて実践的な提案を行う。
 本科目では、環境の保全と計画における学問的な背景、空間特性別及び様々な生態系における環境の保全と計画や生態工学に基づいた環境保全技術について学ぶ。また、プロジェクトを想定した環境計画についての提案をグループワークによって行い、同時に「協働」・「表現」の技術を習得する。